走馬灯(但し死ぬ目には当てないから、これはただの過去の回想)

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「イベントが今日で最後だからさ、無課金プレイヤーとしては一分一秒も無駄にはできないんだよ。あんまり邪魔はしないでね」  視線をスマホに向けたまま会話をしてるその様は、まさに廃ゲーマーだ。いつもはゲームを一時中断して離してくれるのに、今日に限ってイベント最終日とは。 「お前、俺よりゲームのが大事なのかよ! 俺の人生が、今、終わろうとしているんだぞ!!」  そう言っても、奴は宣言通りにゲームに集中したみたいで無反応だ。こうなっては何も出来まい。  以前にこうなった香川のスマホを取り上げてやったら、それはそれは怖かった。どこまでも無言で、何をしてくるわけもないが、怖かった。俺に言えることはそれだけ。  だから、俺は地団駄を踏みながらも大人しく待つ。 「あいつも香川に調教されたよなー」 「なー、大人しく待つことを覚えたんだもんな」
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