走馬灯(但し死ぬ目には当てないから、これはただの過去の回想)

7/9
前へ
/13ページ
次へ
 聞き捨てならない言葉を吐き捨てた野郎は、ギンッと睨み付けておく。おい、俺は犬かよ。香川のやつは集中してる時にうるさくすると、その後一週間くらいは無視してくるんだよ。そんなの無理だろ、大人しく待つだろう。  本当ならふざけたことを言ったやつは黙らせたいけれど、俺が吹き飛ばした机を運んでくれてるので心の中で物申す。 「お前らツンデレかよ!」と。  香川はきりがいいところまで終わったのか、目を瞑って深呼吸をした後に俺の方を見た。 「んで、いつアイドルデビューするの」 「なんでデビューすることが決まってんだよ!」  香川の予定外発言にイライラして右足で強く床を踏むと、周りの野郎が一拍置いた後に一斉に跳ねた。その一糸乱れぬ動きに、無駄な絆を感じてしまう。 「その練習され尽くした団体技を見ると毎回思うんだけど、お前らはお笑い芸人かよ。芸人養成所に全員入校届け出してこいよ、絶対に受かるから!  そいで香川は、なんでその言葉を俺にかけてきたんだよ。「なんで女装でアイドル?」とか「アイドルなんか嫌だよね?一緒に断る方法を考えよう」とか言ってくれないの! もっと、なんか、色々とツッコめよ」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加