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俺が人差し指でさしながらほぼ一息に言い切ると、香川はいつもの顔で俺の人差し指を包んで降ろし的ながら首を傾げた。
「そんな言葉かけても、意味ないじゃないか。どうせお前はアイドルデビューするんだろ」
「はあっ!? なんで決定事項なんだよ? めちゃくちゃ断る気満々なんですけど、俺」
そう宣言する俺を香川は猿を見る目で見て、猿にもわかるように諭してくる。
「西野、考えてみろ。お前が断りたいと思ってもな、お前は女の子の頼みを断れるわけないだろうが」
「うぐぅ」
「今後の展開は、こうだ。
一回断りの連絡を入れるが、かりんは「一度会って話したい」というだろう。するとお前は引け目もあるし、何より美少女からの頼みだからそれに応えるだろう?」
「ああ、応えるな」
その場面を真剣に想像しながらそう答えると、香川は大きなため息を一つ吐いた後にこう続けた。
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