8人が本棚に入れています
本棚に追加
18世紀、ロンドン市内、家内、昼
薄暗い木造の家屋に青白い肌の女と少女がいる。
メアリの母「メアリ。貴女の名前は今日からマリアンよ」
メアリ「マリアン?」
メアリの母「そう。貴女は今日から男として生きていくの」
N「貧しい家庭。ロンドンのくたびれた路地裏の家。日々の食べるものにさえ困り、残飯を漁るような毎日。しかし母は見栄を張り続け豪華な暮らしをしようと心がけている」
N「メアリの父は死んだ。母は死んだ父の母親に金を催促し続けた」
N「その為には娘に価値などない。必要だったのは喪った息子の代わりとなる男孫の存在。ぞんざいに扱われることが決まった皮肉な問題」
N「それが偽物でもすがる希望としてはあまりにも輝かしく」
マリアン「分かったわ……いいや、分かったよ、母さん」
N「メアリ、いや、マリアンの答えに母は笑う」
N「その時より彼女はマリアンとして徹底的に幼少時代を過ごした」
N「男として見られる為に声を作り、仕草を学び、表情や口調も男のそれに作りかえていきました」
最初のコメントを投稿しよう!