海賊淑女‐バッカニアベルダムズ‐

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18世紀、ロンドン市内、家内、昼 薄暗い木造の家屋に青白い肌の女と少女がいる。 メアリの母「メアリ。貴女の名前は今日からマリアンよ」 メアリ「マリアン?」 メアリの母「そう。貴女は今日から男として生きていくの」 N「貧しい家庭。ロンドンのくたびれた路地裏の家。日々の食べるものにさえ困り、残飯を漁るような毎日。しかし母は見栄を張り続け豪華な暮らしをしようと心がけている」 N「メアリの父は死んだ。母は死んだ父の母親に金を催促し続けた」 N「その為には娘に価値などない。必要だったのは喪った息子の代わりとなる男孫の存在。ぞんざいに扱われることが決まった皮肉な問題」 N「それが偽物でもすがる希望としてはあまりにも輝かしく」 マリアン「分かったわ……いいや、分かったよ、母さん」 N「メアリ、いや、マリアンの答えに母は笑う」 N「その時より彼女はマリアンとして徹底的に幼少時代を過ごした」 N「男として見られる為に声を作り、仕草を学び、表情や口調も男のそれに作りかえていきました」
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