ある日『イニシャルG』

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 とある日曜日、夕方にアイツが出た。巷で嫌われまくっている黒光りしたやつだ。結構デカい。部屋が暖かい所為で季節を勘違いして出てきたらしい。  リビングの端から端まで我が物顔で駆けていくソイツを俺は無視した。いや、実は朝からソイツが部屋の角に居たのを知っていた。面倒で放置していたのだ。  そして、ついにオネおじが気付いた。それが夕方だったのだ。 「やだー、むりぃー!」  とか言いながらも、奴は気付くや否や新聞紙と殺虫スプレー(G用)を持ち、出撃して行った。  それから数分後、帰って来たというか、ずっとそこに居たんだがオネおじは無傷だった。  遺体はどこにやったのか、完璧に抹殺したようだ。  全世界のゴキブリが泣いた。
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