ある日『後輩くん』

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 とある平日、高校からの帰りに奴を見つけた。営業から帰って来て、大好きな後輩と職場の外で休憩しているようだ。俺はアイスを買ってもらうために観察しながら策を考えたいと思う。 「やだ、イケメン……」  結構近くに立っているが、奴はこちらには気付いていない。何故なら、自販機でコーヒーを買う後輩に奴の視線が集中しているからである。 「なんですか? 先輩、何か言いました?」 「いや、何も言ってない」  陽気に手を上げて応えているが危ない、博打だ。ここで更なる爆弾を投下することにする。 「あつ子」  ついに俺が声を掛けたのだ。ちなみにオネおじの本名は敦彦である。 「やこ! やだ、どうしてここに? 来たら駄目だって言ったで――」 「先輩?」 「だろう?」  なんだ、このオネおじ、喉にボイスチェンジャーでも仕込んでんのか? 後輩から声掛けられた瞬間に声のトーン下がったぞ?  あと「言ったでだろう?」ってなんだ?
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