寒波襲来と107回目の実験と実験準備

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寒波襲来と107回目の実験と実験準備

“今年は記録的な寒波により、晴天が続いています……” 季節は冬。 記録的な大寒波の影響で、ここ3ヶ月、一切雨が降っていない。 流石の財団でも、お天道様のご機嫌はどうにもならない。 雨が降るのを辛抱強く待たなければならなかった。 雨が降り、107回目の実験を行った、のだが…… 「これは深刻な問題だな……」 というのも、SCP-548-JPは3ヶ月もの間、雨に触れなかった為にまともに音が出せないほど衰弱していたのだ。 またも塚原さんは昇進したのだが、特性消失によるSCP-548-JPの無力化を危惧し、私に1つの実験計画を打ち明けた。 「SCP-548-JPの大規模実験!?」 「ああ。Dクラスの職員を中心に、職員を200人以上集めて実験を行う」 「このサイトの職員の数割を集めるようなものじゃないですか……! 塚原博士、そんなに人数が集まりますかね?」 「だから、集めるんだよ。私と君で。もしかしたら、その実験がSCP-548-JPの最後の実験──いや、演奏になるかもしれないんだ。最後になるかもしれないのなら、せめてコンサートのように多くの人に聞いてもらいたいだろう?」 「確かに、そうですね」 塚原さんが言うことも一理ある。 何もせず異常性を失うよりは、なにかをしてから失う方が良い。 私も、SCP-548-JPの演奏を多くの人に聴いて貰った上で賛辞を受けたらどんな演奏になるかは気になっている。 最後になるのなら、コンサートなどのように多くの人間を集めて今までにない大規模実験を行いたい。 「それなら決まりだ。次の雨の日に実験を行おう。私は上に許可を取りに行くから、君は実験を告知するビラを作成してくれ」 「かしこまりました」 塚原さんが上層部のいる部屋へと向かっていくのを見送ってから、私はWardを立ち上げた。 次の雨の日がいつ来るか分からない。天気予報は当てにならないこともあるのだから。 “SCP-548-JP実験のお知らせ”と堂々と書いた原稿と、からりと晴れた青空。 早く雨が降らないかな。 そう思いながら文章を打ち込み始めた。 SCP-548-JPの為に、嫌いだったはずの雨が降ることを望んで。
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