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「すみません、すみません。
私、喉がカラカラで…
どうか、お水を一杯お恵みいただけませんか。」
対応したのはグレルだった。
グレルはその女性の容貌に驚いてしまい、何も言えなくなってしまった。
無言で女性を小屋に招き入れると椅子に座らせてやり、木でこさえたカップに水を入れて飲ませてやった。
そこに木こりが帰ってきて女性を見るや否や…涙を流して駆け寄った。
「おお!おおっ…おおっ…生きて…生きて戻ったのか?!」
女性は最初何が起きたのか分からないといった表情で困惑したたが、グレルやその父親の反応を見て状況を多少理解したようだ。
「ただいま…?
記憶が曖昧でここの場所だけ
なんとなく覚えていて…
それで森を彷徨って来たんです。」
木こりはおんおんと咽び泣いた。
グレルもつられて涙を浮かべて、それを見ていた。
女性は亡くなった木こりの妻にそっくりであった。
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