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「泣かないで」
そよそよと凪ぐ風音に乗ってミドリちゃんが手のひらを差し出した。
「お礼にこれあげるわ」
コロンと転がる赤い色のキャンディ。
「じゃあ、またね！」
ミドリちゃんは風に舞うチョウチョを見付けて追っ掛けて行く。
「クロ、ありがとう。ほら、僕はこの氷だけでも嬉しいよ？」
空っぽのグラスの中に水溜まりを作る塊をカラカラと音をたてながら、ブラウンはお日様を仰ぐ。
ニッコリと微笑んでグラスを傾けてくれる。
最後の一個、少しだけカルピスの味の残る氷を含んだ。
「帰ったらまた作ってね？」
「うん！」
ニコニコ、ニコニコ。
ポケットにあるキャンディを分けっこして、丘の上で一休み。
明日はしっかり水筒を持って遊ぼうね。
〜fin〜
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