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決戦!!!
「お風呂先入る。」というお母さんの声が聞こえてきた。チャンス到来だ。
だがあまりにも情報が無い。クローゼットの音がしたきり、全く展開が無かった。
じゃあ素直にクローゼットに隠したのか?
いやその可能性は低いだろう。
とりあえず現地調査をして情報を集めよう。
さっきの私の声を聞いた祐太がもうすぐこちらに向かってくるだろう。
しかし何も問題はない。だってスマホは洗面所の私のパジャマの中に隠したのだから!
もしここに隠していることを悟られたとしても風呂場のすりガラスからシルエットが丸見え。気付かれずに犯行に及ぶなんて不可能なんだから。
これで安心してお風呂に入れる。
せいぜい頑張って探してみなさい!
さぁ、探索開始だ。
まずはキッチン。お父さんと妹がテレビに夢中になっている間に棚を漁る。
なるべく音をたてないように、慎重に、そして素早く棚の中を捜索する。
ない、ない、どこにもない。
二週目も見てみたが見つからなかった。
ここじゃないのか?
炊飯器の中、ない。電子レンジ、ない。棚の上、ない。冷蔵庫の中、ない。どこにもない。
辺りを見回す。自分の記憶が正しければキッチン以外の家具の配置が変わっているなんてことはなかった。
となるとクローゼットに隠したのか?そんな簡単なことをお母さんがするか?
まずい、20分以上経過している。お母さんはいつも30分ほどお風呂に入っているが流石に今日は早く出てくるだろう。
くそっ、一旦引くしかないか。
キッチンから聞こえていた微かな物音が聞こえなくなっていた。
祐太は諦めて自分の部屋に戻ったんだろう。
お風呂を上がったらポケットの中に入れとけばもうとられる事はないわ。
いい勝負だったわ、今回は私の勝ちだったようね。
おかしい。お母さんがお風呂から上がってこない。
こんないつスマホを取られるか分からない状況で、のんきにお風呂に入れるだろうか。
それほどまでに自信が?
……っ!解けた!!!
今自分の手元にスマホを置いているから、キッチンを漁られたところで焦る必要が無かったんだ!
スマホを風呂場に持って入るなんてことは故障を恐れてしないだろう、となると洗面所か。洗面所のどこかに俺のスマホが隠されているはずだ。
まずい、時間が無い。どうしよう。
お風呂から上がり、服を着る。
ピリリリリリリリリリリ……..
防犯ブザーの音が鳴り響いた。
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