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断罪後
「な、何が起こったの」
私は遥ちゃんと抱き締め合いながら
紅蓮ちゃんを見た。
「わたしは次期閻魔大王。閻魔大王となるため
悪霊を断罪する練習をしているのだ」
淡々と言う紅蓮ちゃん。
閻魔大王の子どもって、
こんなこともしないといけないんだ。
「さすがは紅蓮様! 見事な断罪でございました!」
禄さんが目を輝かせる。
「ん……」
菜花さんがみじろぎする。
どうやら目が覚めたみたい。
「お姉ちゃん!! 」
すぐさま駆け寄る遥ちゃん。
「菜花さん!大丈夫ですか?!」
「あれ? なんでここで寝てるのかしら」
不思議そうに首を傾げる菜花さん。
「覚えてないの?
わたしの首を絞めたのよ」
「えっ!?」
菜花さんはガバッと起き上がる。
「あたし、そんな酷いことを……?」
菜花さんは青ざめた。
「うん、でも元に戻って良かった」
遥ちゃんは菜花さんを抱きしめる。
「ごめんね、ごめんね。遥」
菜花さんは瞳を潤ませながら謝る。
「でも、どうしてあたしは
遥の首を絞めたのかしら……」
「実は、菜花さんに悪霊が憑いてたんです。
それで紅蓮ちゃんに断罪を」
紅蓮ちゃんの方を見る。
あれ、いない。
禄さんも姿がなかった。
「……蓮花ちゃん、疲れてるみたいね」
菜花さんに哀れみの目を向けられた。
本当のことなのにっ!
「お姉ちゃん、蓮花ちゃんの
言っていることは本当だよ!
お姉ちゃんは悪霊に取り憑かれてたの!
わたしこの目で見たもん!」
遥ちゃんが真剣な口調で言って胸がジーンとなる。
遥ちゃん、信じてくれてありがとう。
「怖いこと言わないでよ。遥、
痛いところはない?大丈夫?」
菜花さんは遥ちゃんの首を触る。
この様子じゃ、信じてないみたい。
仕方ないよね。
悪霊とか言っても大半の人は信じないだろうし。
でも、菜花さんが元に戻って良かった。
私はにっこり笑ったのだった。
◯◯◯
「蓮花ちゃん、今日は助けに来てくれてありがとう」
夕陽差す中、遥ちゃんがにっこり笑った。
「ううん、あれはわたしの力じゃなくて
紅蓮ちゃんの力だから」
謙遜すると、遥ちゃんは首を横に振った。
「それでも、蓮花ちゃんはわたしが電話したらすぐ駆けつけてくれたじゃない。本当に感謝してる。
確か、紅蓮ちゃん?だっけ。
紅蓮ちゃんにもお礼を伝えててね」
遥ちゃんはわたしの手を握りブンブン振る。
「遥ちゃん……うん、伝えとくね」
優しい遥ちゃんに胸が温かくなった。
「それにしても、あれ、なんだったの?!
もしかして、紅蓮ちゃんって」
あ、まずい。
紅蓮ちゃんは地獄の王女様で
私と血が繋がってるなんて言えないっ!
どう乗り越えよう。
「陰陽師?!」
キラキラした目で遥ちゃんが言う。
「おんみょ……うん、まぁ、そんな感じ」
私は誤魔化すように苦笑いを浮かべた。
「すごいな、尊敬しちゃう! 紅蓮ちゃんと
友達だったなんて早く言ってよ〜」
友達じゃなくて姉妹なんだけどな。
私はそう思いつつも、苦笑いを浮かべた。
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