最終話 気高き羊王と運命の番

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 気付くと、俺はベッドに伏せていて、尻を突き出しているような恰好になっていた。アルは後ろから俺に覆いかぶさるようにして、もう一度茎を俺の中に突き挿している。 「本当に、私と番になるか?」 「っ……アルの、番に……して……俺と、一緒に……居てっ……」  と、唐突にアルが俺の首の後ろの辺りに痛みが走った。アルが強く噛んだのだ。そして、俺の一番奥に突き立てて、アルは短く息を切るとびくと身体を震わせた、そして中に放たれた精液が、アルの竿が引き抜かれると、腹に収まり切れなかったのか溢れ出る。 「ロポ……我が魂の番……」  朦朧としながら身体を捻って俺の上に覆い被さっているアルを見上げた。アルは俺の頬を優しく指で撫でて、美しい金の瞳で俺を見詰めている。 「……愛している」  気を失う瞬間、そう言った――ような気がした。  風が頬を撫ぜるような感触に、重い瞼をゆっくりと持ち上げる。 「……アル」  俺を見詰めるその美しい生き物は、まるで全てを包み込むような慈愛に満ちた眼差しを向けていた、 風だと思ったものは、俺の頬を包むアルの手だった。  外はすっかり明るくなっていて、一日降り続いていた雨も上がっている。 「おはよう」  アルは目を細め、僅かに口角を上げて「おはよう、ロポ」と囁くように言った。 「っ……いっ、た……!」  身体を起こそうと上体を持ち上げた瞬間、下半身に鈍い痛みが走って思わず声が出た。 「ロポ……痛むのか」  そう言って俺の腰の辺りを擦るアルを、俺はぽかんと口を開けて見る。 今まで俺を一度も対等に見たことが無かったのに、俺を労わるなんて。あまりの変化に驚く。  しかし、「番」というのは、きっとそういう関係性であるべきなのだと思う。 「うん……ちょっと痛いけど、平気!」
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