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ロポは嬉しそうに僕を見上げた。予想外の言葉に驚く。
「城から抜け出す方法が無くってさ。そしたら、用水路は上流と下流しか警備されてなかったから、スウードが下流の警備の時を狙えば会えるんじゃないかなあって。会えてよかった!」
「……僕に会うために泳いでここまで来たのか?」
「うん! ちょっと流れが速かったけど、おかげで思ったより楽だった!」
城は用水路のほぼ始点に当たる上流にある。あの位置からここまで、距離にして最低でも二キロはあるはずだ。その距離を、ずっと泳いで──。
「俺とアルが城で生活することになってから、会えなくなっちゃって……スウードがどうしてるか心配だったんだ。アルも心配してる」
「陛下が……?」
「うん、口には出さないけど、城警備の担当に毎日スウードがどこで何の仕事してるか聞いてるんだよ」
ロポがわざわざ苦労して会いに来てくれたこと、陛下が僕のことを気にして下さっていること。ただの一従者でしかなかった僕のために──それは、とても嬉しい報告だった。
「αは番が居ないと国に入れないんだってね。スウードも誰かと番になればいいのに! あっ、俺のお世話をしてくれてる羊族の女の子が居るんだけど、とっても可愛いよ! 優しいし、おっとりしてて。白い毛がふわふわなんだ!」
「こら、勝手なことを言うな。相手に失礼だろう」
「うー……ごめん! けど、スウードと一緒に居たくて」
そう想ってくれるのは嬉しいが、番となる相手があってのことだ。それに、城で陛下の側で働くとなれば、運命の番でも無ければ何か間違いが起こらないとも限らない。そうなると、奇跡でも起きなければ難しい。
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