番外編② 愛を知らない犬と夜の羊

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 拾い物だと言うと「どこで」「誰の」と聞かれる可能性があるので、「そんなところです」と濁しておく。 「う〜ん、でもあの石はΩの魅力を引き立てる効果があるとされているので、普通はΩの恋人や番にプレゼントする宝石なんですが」  サーラは不思議そうに「相手の方は意味を知らなかったんですかね?」と首を傾げた。  ──恋人、番にプレゼント?  僕を「運命」と言っていた彼に、そんな人がいるのだろうか? もし居たとして、僕がどうこう言う話では無いのだけれど、何故か胸の辺りがざわつく。  サーラと別れて、陛下の居られる執務室に向かいながら、「今夜返しに行こう」と覚悟を決めた。  夜、仕事を終えて自室に戻り、ルシュディーの腕輪を手にそのまま城を出た。間違えてもローブは羽織らないように。  あまり人に見られると体裁が悪いので──僕のというより陛下の従者としての体裁だ──、裏道を通って歓楽街に向かった。  追い掛けられた末に辿り着いた店だったので、あまり正確に店の位置を覚えていない。辺りを見回していると、ひとりの若い女性が近づいてきた。 「お兄さん、お相手はお決まりです? 私今日朝までフリーなんですよ」  布地で隠されている部分が少ないシースルーの服を着ている羊族の女性が、ぴったりと身を寄せてきて身体が硬直する。 「あ、いや、あの」  前回とほぼ同じ展開に、逃げる方法を必死に考えていたところだった。 「ああ〜〜っ!! おれの運命!!」
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