「心拍が聞こえる」

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「そうね。ごめんね。でも、なんとか夕食に間に合いそうだからよかった」  僕たちの向かう場所は、今流行りの原村ペンションだ。 清里でアイスクリームを食べながら、お洒落な店を散策するのが、今時女子やカップルのあこがれとなっている。 多分に漏れず、僕たちも始めに寄る予定を立てていたのだが、あいにく、突然の出来事で昼間の計画は無くなってしまった。  諏訪南インターを降りると、すでに薄暗くなっていて、地図と看板を頼りにペンションを目指した。  原村は、二回目であるが、都会と違い夜になると、本当に暗くなる。 たまに街灯があるくらいだ。 前回来た時は車二台で、先の車に着いて行っただけなので、全然と言っていいほど頭に残っていないのだ。 「暗いから、良くわからないね」 「そうね。あ、あそこのy字路を左かな、たぶん」 「あ、そうかも。、ちょっと記憶にある」  私達の意見は一致し、暗い中の手探り状態ではあったが、何とか目的のペンションにたどり着いた。  車を宿前の駐車場に止め、お泊り荷物を持ちながら、洒落た入口の扉をたたいた。 「どうぞ、開いてますよ。お入りください」と、男の人の声が聞こえた。
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