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#1 Spring beat
昨日は久しぶりに本気で楽しいと感じた。
音に乗るのは絵を描く感覚に似ている。
自分が生み出すリズムと、
キャンパスに描くリズム、
そこには自由な世界があった。
中学の頃には楽しかった思い出もあったが、
高校に入ってからつまらない事ばかりだ、
この学園には波長の合う創造者が少ないのだと思うのも原因だった。
そんなことを考えながら、
俺は二年生の教室前の廊下を歩いていた。
いつもなら夏月とサボって遊びに行こうなどと企むような昼下り…
1年の時には無い夏月との溝を最近は感じていた。
夏月は学校にあまり来なくなっていたのだ。
本来は来させなきゃいけないのかもしれない。
来ない理由はわかっていた、
だからこそ、そんな気分になれなかった。
「つまんない…」
そう思いながら、
昨日あったことを考えていた…
中学から始めたダンス。
路地で踊る奴らを見て、
最初は見様見真似だったがコツを掴めば楽しく、
どんどんハマっていった。
ある日、
ダンスバトルをするそいつ等を見ていて
そういう事は、ひとりでは出来ないと知る。
なら、そこに混ざろうと思ったら軽い足取りで彼らに声をかけに行く。
「ねぇ、それ、一緒にやりたい」
不良だった俺は初めは不審がられたものの、
すぐに打ち解けた。
そいつらとは高校に上がってからも仲がよく、
昨日は集まりがあった。
そして敵対してるチームとのバトルだったのだ…
だが、そこに邪魔が入った…
他県のダンスチームで悪評があった奴らが奇襲をかけてきた。
何故、悪評があったのか…
それはダンスでは無く
暴力を奮ってくると有名だったからだ。
エンブレムを見てすぐにわかった、
いや、いずれくるだろうとは思っていた。
俺は目立っていた事もあるし自分でそれがわかっていたからこそ奴等が潰しに来る気はしていた。
予感は的中か…
ただ数が圧倒的に不利だったのは確かだった。
考えてる以上にヤバい奴らだったんだろう。
それもタイミングを見計らったように、
ダンスバトルの終盤で現れた。
どこかで様子を伺っていたのだろうか、
まさに「卑怯者」という言葉が似合うようなダサい奴らだった。
だが、
春輝の予想を超えた人物が居たのだ、
それはダンスバトルをしていた相手チームの奴だ、
目立たないが静かに、そして揺るがない瞳、
マスクをしているから口元はわからない。
しかし、あの目が忘れられなかった。
「真剣」で「誠実」なダンスには強さがあった…
まさか、喧嘩まで強いとは思っていなかったが、
そいつがいたから喧嘩も圧勝したようなものだ。
まぁ居なくても負けるつもりなど春輝には無かったのだが…
せっかくだし、
名前くらい聞いてもよかったと思う。
しかし、
何かの予定があったのか気付いたら居なくなっていた…
夜も遅くなっていたし、
まだ若そうだったから仕方ないかもしれない。
ふと、外を見やると入学式が終わり数日後、
桜も散り陽気も暖かさを増していた…
ふんわり1枚桜の花びらが舞う、
入学してきた1年生の事を少し思うと、
懐かしさで笑みが溢れた。
桜を目で追うと隣のクラスにスッと入っていく…
…
その瞬間見つけてしまった。
「あ………昨日の子だ♡」
春輝は足取りが軽くなるのを感じた。
これはきっと神様がくれたチャンスでは無い、
俺が引き寄せた運命なんだろう。
「会いたい」と願った俺が引き寄せたんだ。
そんな事を思いながら、
もう一度彼とダンスバトルでタッグを組みたい想いが弾む。
すぐさまポケットに入ってる飴を取り出した。
隣の2年B組は鷹左右春輝が怖いやつだと認識している奴も多いのだろう、
一気に注目が集まり、
騒つくクラス内だったが
それにもお構いなしだった。
「学校一緒だったんだねェ?飴あげる〜」
いきなり机の前に来ては、
黒いマスクの彼に詰め寄っていく。
彼は驚いた様子でまばたきを2回ほど繰り返した、
「え、なんでいきなり…飴ですか???」
そう言って身を引く、
目的がよくわかってないのだろう。
というよりも昨日のことを覚えていないのだろうか…
「サイダー好きなんでしょ〜?」
首をかしげながら飴を彼に差し出すと、
「俺が好きなのはラムネだ…まあ、嫌いじゃないけど…」
そう言って飴を受け取るが、
昨日のような真剣な顔では無く逃げ腰であった、
何故だろう目が合わない。
じっと彼を見て感じた…
もしかしたら俺が昨日のヤツだってわかってないのかも…
…
じっと熱い視線が突き刺さる、
俺は思った、
(なんで話したこともない隣クラのやべぇ双子の不良の片方に絡まれてんだ?!俺なんかしたか?)
全く持って身に覚えが無かったのだ。
「あれー?昨日は楽しそうだったのに〜」
「昨日…?」
その言葉を聞いて思い返した、
昨日は確かダンスバトル中にきた連中を蹴散らした…
未だに相手に蹴られた足が痛むが数日もしたら痛みはなくなる程度だろう。
それよりダンスバトルを中断されたことに怒りがあったのと、早く彼女に会わなきゃいけなかった…
そのことが昨日は重要で体の痛みで
そういえば、と思い返す。
やけに派手な男達とのダンスバトルだったが…
ひとりキレがいい、そして喧嘩が馬鹿みたいに強い奴がいたのは記憶にある。
そう、あいつのおかげで俺が彼女との約束に間に合ったんだ、感謝はしなきゃいけない。
時間に間に合ったのだから…
そう、名前は知らない…
いや、ピンクの派手なその姿…
不適な笑顔…
喧嘩してる時でも常に余裕な表情…
もしかして …
「え、まさか…昨日の?!見た目違いすぎて気付かなかった!すみませんでした」
とりあえず頭を下げた、
表情は見えないようにした、焦りがあったからだ。
いや待てよ、だったら何故自分が話しかけられているのか、昨日でしゃばったからだろうか。
喧嘩を早く終わらせたい一心で全く記憶に無かった。
まずいな…まさか、隣のクラスで有名な、
そして絶対目をつけられたくない鷹左右兄弟の1人に俺は目をつけられたということだろうか。
出過ぎた真似はするもんじゃなかったと
今更後悔していた。
「いーよー、はいお近付きに飴あげるね♡」
「じゃあ何かお返し……今何もないから今度渡しますね」
一刻も早く自分の教室に戻って欲しかったが、
たくさん渡してくる飴、
もう手にいっぱいいっぱいで溢れていた…
なんだこの状況は…
…というよりその笑顔が怖い。
「んーーー、じゃあ今日の放課後暇?」
「………特には」
その言葉を言った俺を見て、
さっきよりも嬉しそうな顔をすると
衝撃的な事を言い放った、
「じゃあ、カラダで返して♡」
その言葉にクラス内がより一層騒つくと共に
チャイムが鳴った。
俺は頭の中が真っ白になって返答が出来なかった。
「放課後迎えにくるからまっててね〜ばいばーい♡」
先生が入ってきたのを見て、
彼は手を振りながら素早く教室を出ていく。
それは、ほんの一瞬の出来事だった。
「おい、冗談だろ」
過ぎ去っていく姿を見て手にあふれんばかりの飴を持ったまま呻くように言葉を吐く。
どういう意味なんだ…
まず1番初めに浮かんだのは、
(カラダで返す、って…まさかゲイだってバレて…?いや、ありえねぇだろ…)
と思った。
そう、俺は彼女はいるがゲイでもある。
どっかでそんな情報を手に入れたにしては、
なんか違和感がある…
いやいや知るはずは無い。
雰囲気で感じたのか、
人の弱みを直感で感じるのか、
そんな風にも思えない。
「原田、おい原田…飴玉ばかり広げてどうした…?しまいなさい、教科書はどうしたんだ」
「…!…あります、すみません」
あまりの衝撃と昨日の自分を恨んだ、
とにかく変な想像もチラつくし
授業に集中出来ずにいた。
その言葉の意味は一体…
一日中考えていたが全くわからずに、
刻一刻と時間が過ぎていく…
そして、
あっという間に放課後が来てしまったのだった…
暖かな春の陽気の中、
軽やかなステップで彼は俺の前に来て楽しそうに鼻歌を歌う。
俺に気づくと笑顔で手を振る。
「じゃあ、屋上いこっか♬」
彼の言葉に不安がありながらも、
その背を見ながらついていく…
この時はまだ、
まさか本当に、本当の意味で、
カラダで返すことになるとは
思ってもいなかった。
next … #2 Shall we dance?
…………
本日2人目の方を投稿してしまいましたね!
どうも皆様、こんにちは…
鷹左右春輝の中の人、神条めばるです!
いや、湊ちゃんの話をあげた後なので、
理人が、ギャップ凄くてまた違う視点から楽しめる話かなって思っています!(
実は、理人の中の人とは元々全然関係ない部分での知り合いでした。
そ、し、て、ここだけの話。
理人がRTしていたから、
私はシキケン在学中に手を出したんですよねーーー(笑
つまり、理人がいなければ春輝は誕生していなかったでしょう!!!!!
ありがとう、理人!!
ってわけで、
理人くんとのストーリーを是非書きたい!
と私からのアプローチにより、
今回の話が生まれました…
それまでは、理人についてあんまり知らなかったので、キャラクターを知るところからだったんですが。。。
…ダ、ン、ス!!!
もはや、そこにしか目がいかなかった訳ですね。(理人のプロフィール欄
だったら、春輝もダンスが好きってことにしようってなったわけです。
何故そうなったのかというと、
前々から、理人の中の人となんかダンスやりたいねーーー
なんて話を計画してたのもあったので、
これはシキケンでやらかすかも??
なんて夢見ちゃってるわけです。
もちろん参加者も集いたいし。
気になる人はDMバッチこいです!
さてさて、理人と春輝…
この2人を比べた時に真反対というのを感じ、
そう、赤と青ぐらいの差がありました( )
理人は春輝をめちゃくちゃに警戒している、
春輝は理人にめちゃくちゃに興味もっちゃった。
だから、理人からしたら、
春輝の事をちゃんと知るまでは暫く警戒するでしょう…
そう、こっからが本番なんですね!!
ストーリーが面白くなるのは、この先です…
まだ始まったばかり。
あ、
理人はゲイですが、
春輝は女しか経験ないしゲイ展開はないと思うので腐女子さんで期待した人いたら御免なさいね…(二話の展開がモロバレなのでは?
大丈夫、私はオールジャンルいけるから、
言われたら春輝も全然どこでもいける。
BLしたい人いたらカモン。
でも恋愛には発展しないから、
もどかしい人がいたらごめんね。
深い理由があるので、
それはまた違うストーリーにて語ります!
理人が割とギャグ路線になってますが、
熱い友情がこれからある…かな?←
あると思うので、青春していきたいと思います!!
ダンスと拳で2人の距離が縮まる…
そんなお話しです!
ここまで見ていただきありがとうございました!!!
さて、理人くんの小話をしちゃうと…
実は、結構おちゃめなんですよ。
あの顔で、サラッとピースしちゃうような子。
見た目があの感じだけど、(失礼
中身のギャップが最高なので、
とっつきにくい部分含めて、
みんなが理人くんを知っていけたら私は嬉しいです!!!
ではまた次回の更新をお楽しみに。
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