ガウリール、強行突入

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ガウリール、強行突入

「血と硝煙と絶対鋼鉄の鎧、それが制服だ」 「お言葉ですがッ」 きびきびした若い反駁。おう、何だと隊長が振り向けば突入艇が突き刺さっている。ひしゃげたハッチを鋼の足がこじ開けた。 「郷土愛と国旗をお忘れです」 「そうだったな」、百戦錬磨の男は苦笑すると船底から剣を抜いた。身の丈よりも長い刃渡り。 幟のように振りかざす小隊全部に檄を飛ばした。 「一気呵成に行くぞ!」 「「応ーーーッ!」」 ガウリール強攻偵察小隊は矛盾の(きっさき)と怖れられている。どうにもこうにも歯が立たない局面を無理やりこじ開ける。 それでいて、彼らが切り開いたディフェンスラインから後ろは未だに侵されたことがない。 まさに、矛盾を体現するつわものどもである。難攻不落の要塞エスキスに突き刺さった上陸用舟艇からわらわらと鋼をまとった勇士が湧き出る。 要塞側の防空網はとっくに破れていて空挺ドラゴンも戦闘飛空艇もない、黄金色の晴天が広がっている。 代わりに防塁の稜線が宝石箱のように煌めいた。 「伏せろ!粒子砲だ!!」 ガウリールが気づいた時には先鋒の数名が溶けていた。 「ジャグニのウィッチどもめ! やはり寝返ったか」 隊長は歯噛みすると、彼らの死を無駄にしないため、叫んだ。 「バーゼノンは魔女を味方につけている。倍返し、いや、十倍にして叩きつけろ!!」 言い終える間もなく、熱波の奔流がガウリールをかすめた。 ギュンッ!と旋風が鳴る。防塁にキノコ雲が一つ、二つ。遅れて菌類が群生するがごとくぬるっぬるっと重い黒雲が吹き上がる。カランコロン、と雰囲気にそぐわぬ軽快な響き。小隊の後衛が斉射した後始末だ。袖から親指大の薬莢が転がる。彼らの指先にはまだ青白いハレーションが揺らめいており、そのはるか先にクレーターが連なる。ザイドリッツ重工業主義選帝侯国の標準的な”制服”だ。 「あーっはっはっは!見ろ!!」 ガウリール隊長は嘲笑った。 小馬鹿にするように念を押す。 「見ろ!鉄壁が紙屑のようだ。バーゼノンの女たちがまとう”制服”のように」
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