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そんな蛍原の言葉を思い出しながら、萩は目の前にある例の村へ目をやった。
どこの大人がお坊ちゃんに吹き込んだのかと思えば先代だったとは、と盛大な溜息を付く。
蛍原の父であり先代の大名も頭が良く、争いを嫌う性格だった。戦を避ける為、忍びの育成に力を注ぎ、情報戦略と話術によって国の平和を築いた人物だったが、病で三年前、他界してしまったのだ。
その後、蛍原が今の大名となったが成長するにつれ、少し強引な性格と丸め込むような喋り方、顔つきまでもが先代と似てきたなと思えてくる。
――蛙の子は蛙だな。
そんな事を呆然と考えながらも、村へと歩みを進めた。
暫くすると、村人が畑を耕しているのが見えてきた。しかし、どうも普通ではない。耕している男の手足は木の枝のように細く、着物もくたびれ薄汚れている。
辺りを見回せば、水を抜いたよに干からびた田畑が広がっており、雑草すら生えていない。
――何だ…… この村……
貧しいなんて話じゃない。まるで村全体の生気を吸い取られているような、そんな光景だった。
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