肆 もういいよ

10/10
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「おい。こいつで良いのか? 名前も言えてねーぞ?」 すかさず、萩はクロを指さして疑心暗鬼な表情を浮かべ突っ込んだ。そりゃ初めて見た青い龍よりどう見たって頼りない。更には、幻覚を扱うそうだが攻撃は殆ど当たらないのだ。しかし、椿は話を聞かずクロの前足を握りしめた。 「ぜひぜひ! 宜しくね! えーと…… 名前はクロちゃんだっけ?」 「クロ様で良いぞ!」 ――あぁ…… またうるせーのが…… しかし萩は、お気に入りの風車をあの場に置いてきたであろう猫と、ずっと孤独だった少女の笑顔を見て、敢えてこれ以上何も突っ込まなかった。 第二章 『化け猫の思い出』 完
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!