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「餓鬼がぎゃーぎゃーうるせーなー。昼寝もできやしねー」
木陰で姿を隠したまま、わざと大きめの声を出す。別に昼寝をする気は更々ない。適当な口実だ。
すると、何処から打ち落とされたかわからない石に戸惑っていた子供達は、どさっと音を立てながら腰を抜かし、後退りしだした。
「うわ――!!! 疫病神が化け物呼び出した!!!」
「逃げろ――!!!」
子供達は悲鳴を上げながら逃げて行く様を見て、少し驚きすぎではと思いつつ、萩は木陰から姿を現した。
「大丈夫か?」
『疫病神』と呼ばれていた子供に逃げられたくない萩は、一応化け物と勘違いされないよう笠を持ち上げ優しく微笑みかける。萩の整った顔立ちと優し気な笑みは、忍びとして便利な仕事道具だ。老若男女問わず彼の笑顔で皆信用し簡単に情報を流してくれる。
今回もその仕事道具で情報を探ろうとした萩だったが、子供を見た瞬間、驚きで笑顔が崩れそうになった。
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