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もう歩けないと、震える足を止めたのは、芋虫さんにぶつかった種子だった。
アリーは、こんな森の真ん中でどうしようと困ってしまう。
その時だった。
薄暗い森の中をさらなる闇が覆っていく。
「怖い、怖い」
足を止め震える身体を寄せ合う種子たち。
【こんな所に見掛けない顔だね。こっちにおいで】
闇の中から声がする。『こっちにおいで』と言われたがアリーはそれに従っていいのか分からず頭を悩ませた。
【なに、取って喰いはしないさ。綺麗な水をやろう。お腹がすいただろ?】
水、と聞いて芋虫さんにぶつかった種子がまたコロコロと転がり出した。
「あっ、待ってよ!」
アリーの声も虚しくコロコロ転がる種子は闇に呑み込まれて行ってしまった。
「大変! 助けなきゃ!」
アリーに続いて、種子たちも仲間を助けようと走り出す。そしてみんな一緒に闇に呑み込まれて行った。
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