雨の日の祈り

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雨が降っている。 雨は、きらい。 でも、雨が降らなかったら、 困る人もいるから、 だから私は、 雨が降りますようにと、 天に祈りを捧げる。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ あれは、3年前。 メイド「ふう、お掃除終わった」 ドワーフ「なんじゃ、なんじゃ、この床は」「隅にホコリが残っておる」「やり直しじゃ」 メイド「は、はいっ!すみません」 あーあ、いつもこう。 もっと大目にみてほしいなあ・・・ 通りがかりの王子「あれ?君って、いつも真面目に掃除しているよね」「ありがとう、助かるよ」「この国を支えているのは、君のように自分の果たすべき仕事をしている人なのだろうね」「君に出会えて良かった」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ドワーフ「はあ? 王子様からプロポーズされたじゃと? じゃ、仕事は止めるんじゃな?」 メイド「あ、いえ、お断りしようと思っているんです」「だって、私、親もいませんし、ウェディングドレスとか用意するお金もありませんから」「だから、私、掃除の仕事を続けようと思います」 ドワーフ「あほ。お前が掃除すればするほど、城が汚れるんじゃ。さっさと、仕事止めてまえ」「今日は、もう家に帰れ」 メイド「・・・はい」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ だめだ、私。 何をやっても、不器用で、失敗ばかり。 (ドンドン、ドアを叩く音) メイド「はい」 配達人「お届けものです」 メイド「え? 何でしょうか?」 配達人「お城の王子様からです。ウェディングドレスお仕立て券です。お店にお持ち頂き、ドレスをあつらえて下さいと、伝言をたまわりました」 メイド「王子様が、そう・・・」「ありがとうございます」「そうさせて頂きます」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 結婚式、前日。 メイド「お世話になりました」「あら? ドワーフのおじさん、姿がみえないのですが、お休みですか?」 メイドA「・・・あー、あなたには黙っているつもりだったけど」「亡くなられたの。雨の中、町中を掃除していて、肺炎でね」 メイド「え?」 メイドA「ウェディングドレスの仕立て券、高いのよ。全部、あの人が手配したの。その支払いのために、仕事を山ほど引き受けて」「気がついてなかったの? 王子様の散歩コース、あの人、いつも、あなたに仕事を割り当てていたの」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 3年後。 雨が降っている。 私は祈る。 王妃として、この国の安寧と繁栄を。 国民の幸せを。 作物が、無事に収穫できるようにと。 ただ、祈る。
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