certain things

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「名前、変わってるね」  絢さんは、私の家庭教師になった。会社役員になった父に就いた秘書の絢さん。会社帰りに私の家に週に一度来ることになった。 「不思議ですよね」  私は性別の特定しにくい名前を持っている。両親に由来を聞くと、この字が一番好きだったからと言われた。人間の証明とも。 「情。私はすごく響きがすきよ」  名が体を成す現象だと思うことにしてる。情をそのまま丸めて人間の形にしたような、無性別の私。学校では「少し稀有なタイプ」と先生に言われる。  背が高く、目が悪く、眉は太く、首が長く、顎は尖りがち。すべて遺伝子のせい。バスケではシュートフォームだけで相手から酷いマークを受ける。監督にはその存在感が情の強みだと言われる。
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