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清楚なワンピース姿の女性が青年の胸に顔をうずめた。
青年もまた彼女を離すまいと、その背中に回した手に力を込めて抱きしめた。
「あのぅ、お取込み中にすんませんけど」
「ありがとうね」青年の胸から顔を上げた女性は涙をぬぐった。「助かりました。君のおかげで、やっと彼に逢えたわ」
「どういうことだい」
「浮遊霊になってた彼女さんに捕まったんです。別に変なことはされませんでしたよ。でも授業中に寝てたら起こされたり、トイレでメールしてたら声をかけられるわで、落ち着かれへんでしょ。せやから頼みを聞いて、彼氏のあんたを助けることになったんです」
「そうだったのか。あのストーカー女から俺を助けるために」
「いや、本当の頼み事は、それとは違いますよ。まだ思い出せませんか。あの女は、この四条大橋のたもとにいた彼女さんを轢いたあと、勢い余って車ごと鴨川へ転落して自分も即死した。でも……」
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