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「し、しかし、金品も、悪魔の力も無効となれば、いったいどうやって心変わりさせれば……」
一方、エイドレアンは自身の全力を注ぎ込んだ魔術も効かなかった現実に、最早諦めともとれる発言を口にしている。
「やり方が生ぬるいのだ! わしに考えがある。エイドレアン、そなたは真にレジティマムの信徒か!? いかなることをしてでも異端を排し、プロフェシア教の正しき教えを護りたいと思うか!? また、陛下の臣として、まことの忠義を尽くそうと思う者であるか!?」
そうした弱気な後輩僧侶に対し、厳格な恐ろしき神が如き顔つきのスシロウデスは、その信仰心が本物であるか否かを激しく問い質す。
「も、もちろんですとも! 私とて陛下に皇帝となっていただき、異端勢力の拡大を阻止することを心より望んでおります……し、しかし、そのお考えというのはいったい……」
「なあに、ここは預言皇に嫌われ者になってもらうだけのこと。我らが忠誠を誓うのは預言皇レオポルドス10世ではなく、レジティマム教会なのだからな……」
当然、首を縦に振りつもスシロウデスの言葉に狂気を感じ、おそるおそる尋ね返す蒼い顔のエイドレアンに、誰よりも信心深き老僧はいつにない不敵な笑みを浮かべた――。
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