2人が本棚に入れています
本棚に追加
小鳥遊さんは恋してる
俺の名前は阿部 直人。
何処にでもいる至って普通の高校二年生だ。
身長は平均より高め。学校の成績はオール3。
顔はイケメンの分類に入らないが、ブサイクというわけでもない。
部活動に所属もせず運動神経はそこそこ。趣味、特技は無し。
高校二年の春になっても初彼女ができる気配など微塵もない、はずで。
そんな俺だが、最近頭を抱えたくなるほどの悩みができた。それは。
「ふぁ……おはよー、っておい」
「はぁ……はぁ……ナオ君。ナオ君の匂い良すぎるよぉ。ナオ君のシャツを抱きしめて舐めて嗅いでもう一回抱きしめてもう天国だよぉ……はぁ……はぁ……!」
「何してんだこの変態」
家に変態が居候していることです。
変態行為に朝から勤しんでいる女は朝っぱらから俺の昨日着たシャツに顔を埋め、抱きついて息を荒くしていた。
この変態の名前は小鳥遊 楓。
同じ高校二年生であり、学校一の美人と言われている女子生徒だ。
小鳥遊楓はとある一大企業の社長令嬢である。整った容姿は見るものの心を奪い、天使のようにあどけなさを残しつつも美しく、歩くだけで蕾の花が咲き、口を開けば小鳥の囀りが聞こえてくるらしい。
艶のある長い黒髪が陶器のように白い肌をより際立たせており、スタイルもモデル並みときたもんだ。
性格もおしとやかで誰に対しても優しく、生徒だけでなく先生からも信頼されており、生徒からの推薦で学級委員を務めるほどだ。さらに授業態度は真面目で成績も良く順位は常に上位、運動神経も良く部活の助っ人に呼ばれて参加した試合では常に勝ち続けているとか。
そんな完璧少女は生徒からは羨望に近い視線を集め、男子からは好意を寄せられ入学式から現在まで彼女に告白する男子は絶えないという。しかし、彼女のお眼鏡にかなう男はいないのか、告白してきた男子は漏れなく御丁寧に断られている。
そんな彼女は、平凡な俺とは接点すら存在しない。
雲の上の存在。
出会う前まではそう思っていた。
そんな完璧超人である彼女だが、俺はある日突然彼女の秘密を知ってしまい、居候されることになってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!