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「ミユキは俺の子だ!! 帰るぞ、ミユキ!!」
「いいや、俺の子だ!! 気安く呼ぶな!! この変態やろう!!!」
私が考えている間にも、二人の言葉はどんどん乱暴になっていき、さらに声も大きくなっていく。
どうしようか……
意を決した私があの、と言いかける。
「パパー!! もう、どうしたのよ」
どこからやってきたのか、真っ赤なワンピースを着た若い女性が、ベンチに座るオシャレな方の男性に走り寄る。
「もう、ミユキね、待ってたんだからね! もう、ずっとよ。ずっと……」
甘えるように言う女は男性の肩をねちっこくなでる。
「悪かったね、ミユキ……パパが待たせちゃったね……」
オシャレな男性は肩の上の細い指をそっと自らの唇に誘うとチュッとして、ペロリとなめ、吸った。
「おい!! お前!! 俺のミユキだぞ!! ミユキは俺の子なんだ、返せよ!!」
オシャレじゃない方の男性が女の肩をつかんだ。
「ミユキ、ミユキ……」
女のもう一方の手を両手で握りしめると、自分の頬に持っていき、ネチネチ擦り付ける。
その間も黄色い帽子の女の子はこちらに背を向けたままでぴくりとも動かない。
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