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この子がミユキではなかったのか?
いや、それよりこんな状況が幼い子の前で繰り広げられていて、いいわけがない……!!
「き、君たち!! よさないか!! 子供の前だぞ!!」
私はついに立ち上がり、つかつかと歩み寄った。
ちょうどそのとき、女の子は急に、真後ろに頭から倒れベンチから落ちそうになった。
「あぁ、危ない!! ……わぁっ!!!」
小さな肩をとっさに両手でささえたとき、私は初めて、その子の顔を見た。
固まった笑顔のマネキンだった。洋服売り場にいるはずの、小さな子供のマネキンだったのだ。
「に、に、にんぎょう……あぁぁっ!!」
男二人とワンピースの女が私を凝視する。
三人は皆、私と同じ顔、初老の男の顔になっていた。
「オ、俺が……」
そして、三人が声をそろえて言った。
「そう、俺は俺だよ、お前だよ」
間違いなく俺の声だった。
「わぁーっ!!! オ、オレ……オレが……!!!」
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