無意識ト幻覚ザイ

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 あの公園に来る前、コンビニに立ち寄った私はサンドウィッチとお茶を買って店を出た。  出たところで、娘のカナと同じくらいの年頃で真っ赤なワンピースを着た若い女性に声をかけられた。  聞けば、コンビニのクジで新商品のエナジードリンクが当たったが、体質的にカフェインが合わないのでもらってくれないか、ということだった。  私はエナジードリンクというものを知らなかった。その上、娘くらいの若い女性から、若い人が飲むようなものを勧められたら、それは……悪い気はしない。  ひとつ、試しに飲んでみようと気持ちよく受け取ったのだった。  今思えば普段と違うもので口にしたのは、あのエナジードリンクだけだ。  市販のドリンクで泡を吹いて倒れるなど、あるだろうか。  私はまだ五十になったばかりで持病もなく、特に薬も服用していない。  登山が趣味で、年齢のわりには健康体のはずだ。  なのに、市販のドリンク一本で、まさか……あのドリンクに仕掛けが……?
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