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初めての出会い
中学生になり、近隣の小学校4校が合わさった中学校だけど、他の小学校の生徒にも僕の存在が知れ渡っていた。
入学した日から大勢の同級生に話しかけられた。入学したその日に告白の様な事もされた。
(中学生でも、絶対誰にも負けない!)
その気持ちを胸に、努力を続けた。
野球部に入部しあの時はピッチャーの素質が無いと言われていた僕が、1年からピッチャーとしてベンチ入りをした。
勉強も時間が戻った事によって予習と復習の様な感じになり、難しかった問題も理解出来る様になっていた。
全てがうまくいっている様な感じで、少し怖い感じもしていた。
そんなある日、僕は母さんと夕飯の買い物をしていた。
「ねー!私これ食べたい!」
遠くで聞き覚えのある声が聞こえ、僕はそっと声がした方に近づいた。
そこには、まだ幼い顔をした若菜の姿があった。
それを見た時、大人になった若菜と優菜の事を思い出した。
「わか・・・・・・・っ」
思わず僕は若菜を呼ぼうとした。
けれど、僕達はまだ出会っていない事に気付いた。
未来ではあんなに幸せに毎日一緒にいたけれど、今の僕達はまだお互いの事を知らなかった。
「隆太ー!もう行くよー!」
母さんが会計を終えて僕を呼んでいた。
「今行くー!」
これがこの世界での、僕と若菜の初めての出会いだった。
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