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新たな人生、新たな恋
若菜との出会いから色んな事を考えた。
もう一度若菜と出会う事はあるのだろうか。
また、僕は若菜と一緒になる事が出来るのだろうか。
たくさんの事を考えたが、未来の僕達が出会ったのは社会人になってからだった。
(きっとその時にまた僕達は一緒になるだろう。だから今は自分の将来の為に頑張ろう。)
今はあまり考えずにいた。僕と若菜の出会いは運命だと思っていたからだ。
野球の努力も良い成果を発揮し、中学の大会でも上位の成績を残し、中学2年生の頃には多くの高校からのオファーを受けていた。
「ねぇ隆太君、隆太君って好きな人いるの?」
そう聞いてきたのは小学生の頃に憧れていた彩だった。
「んー。今は別にいないけど。」
若菜と出会うのはもっと先だと思い、そう答えた。
「そうなんだ!隆太君人気あるから、ちょっと興味があってさ。」
こういうのは自意識過剰なのかもしれないけれど、彩は俺の事が好きなのか?とそう捉えてしまった。
そう思うと、なぜだか急に彩を意識してしまった。
実は今日に至るまでに何人かの女の子に告白をされた。
けれど、若菜の事を考え全てを断ってきた。
だけど彩はあの時憧れていて、ずっと片思いをしてきた。
そんな彩が僕の事に興味を持ってくれていると考えたら、胸がドキドキしていた。
「彩も・・・可愛いし、男子からも人気あるから、誰かと付き合いたいって思わないの?」
「私は・・・前から好きな人がいるの。内緒・・・だからね!」
行動、言動、性格、全てが可愛くて魅力的だった。そんな彩を僕は好きだった。
けれど若菜と優菜の事が頭の中で揺らいでいた。
「それじゃまたね!」
彩はそう言って教室を出ていった。
部活を終え、校門を出た所でそこには彩の姿があった。
というより、明らかに誰かを待っている感じだった。
「おぅ、彩。誰か待ってるの?」
「・・・・・。隆太を待ってた。・・・ねぇ隆太?」
「・・・?どうしたの?」
「私ね、ずっと・・・隆太の事が好き。
隆太の野球している姿が好き。
勉強している姿が好き。
友達と話をしている姿が好き。
優しい声で話しかけてくれる隆太が好き。
そんな隆太を・・・誰にも渡したくない。
私と・・・付き合って下さい。」
突然の彩の告白に正直驚いていた。
今までの僕の人生の中でこの様な事が一度もなかったからだ。
それもよりによって、片思いだった相手からの告白。
そんな状況に僕は、
「僕も、彩が好きだった。ずっと。僕と一緒にいて下さい。」
僕の人生が、大きく動き出した。
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