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不自然
あれからあの図書室の管理人の言葉が頭の中に響いていた。
何故だろうか。
何も考えない様にすればするほど、「運命」この言葉が胸に突き刺さった。
けれど僕には今は彩がいる。
「隆太?どうしたの?」
彩と昼休みに昼ご飯を食べたいたが、あの時の管理人の言葉を考えてしまい、すっかり気持ちが浮いてしまっていた。
「ごめん、何でもないよ。それで?なんだっけ?」
「もうー真面目に聞いてよー。だから、来週の土曜日の近所の大花火大会に一緒に見に行こう!って話だよ。」
「あー・・・。」
「反応が薄いなぁ。来週の土曜日は野球部も早く練習も早く終わるって言ってたしさ。私すっごく楽しみなの。」
「そっか。それじゃ行こうよ。」
「なんかさー。最近隆太どうしたの?いつも他の事を考えているっていうか、心ここにあらずって感じで。どうしちゃったの?」
「いや・・・ごめん、何でもないんだ。俺も楽しみだよ花火大会。」
「本当にー?じゃー絶対に一緒に見に行こうね!約束だよ?。」
そう言って彩は自分の教室に戻って行った。
あれからずっと、一人になるとあの管理人の言葉が気になってしまう。
「未来の・・・誰か・・・。」
あの管理人は何かを知っているのだろうか?
いや、なにも知らないはず。
そもそもこんな普通ではあり得ない事が起きている事を誰も知るわけがない。
けれど管理人の言葉の意味は一体何だったのだろうか。
若菜と優菜。3人で過ごした幸せな日々。
だけど、今は。
(違う人生を歩むと決めたんだ。)
そんな気持ちとは裏腹に、スッキリとしない日々がずっと続いていた。
何をしていてもあの言葉が気になってしまい、集中する事が出来ずにいた。
それは彩と話をしていても同じく、彩を困らせては不自然な笑顔を浮かべてしまうようになっていた。
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