1人が本棚に入れています
本棚に追加
壁の花のもとにイケメンが来た。
――少女漫画に出てくるイケメンだ。
真衣は瞳孔を大きくして彼を見る。Vネックのインナーにベージュのジャケットとシンプルな装いながら、生地を見れば高級なものであることがわかる。おしゃれという意味で身なりに気を遣っているようで、わずかに爽やかな香りがする。
「以前にどこかでお会いしましたっけ?」
「いえ、すいません」
――あまりにもイケメンで見惚れてました、なんて言えない。
ここは婚活パーティーの会場だ。イケメンを眺めに来たのではない。将来のパートナーを見つけるのが目的だ。真衣は彼と交換したプロフィールカードに目を落とす。三十歳、医師、年収一千万超。身長百八十三センチでルックスには非の打ちどころがない。今日一番人気の男性で間違いないだろう。
「学校の先生をされてるんですね。僕もこんな素敵な先生に教わりたかったな。学校でも人気なんじゃありませんか、真衣先生って」
「そんなことありませんよ。先生ダメだなぁって子供たちのほうが協力してくれる感じですから」
「それも真衣先生の魅力ですよ」
イケメンに微笑まれ、真衣の顔がほてる。
最初のコメントを投稿しよう!