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普段触れ合うのは小学生で、同世代の異性といえば勤務先の同僚のみだ。しかし同世代の人数が少ないうえ、既婚者と婚約者または彼女持ちとシングルなのは真衣のみである。子供たちが好きなポケモンの話と同性の友人との女子トークならできるが、同世代の異性の話題が分からない。
「先生こそ……すいません。つい癖で」
同僚は先輩も後輩も先生と呼ぶ。新任は高橋先生だし、二十数年のベテランは山崎先生だ。ちなみに真衣は名字の脇田先生ではなく、子どもたち同様に同僚からも真衣先生と呼ばれている。
「僕も普段は先生と呼ばれてますから。……先生カップルですね」
「カップル……!」
――もうカップリング前提でいいの? 婚活だからいいのか。
頬を上気させる真衣の耳に第三者の声が届く。
「先生なんですねー。何の先生されてるんですかぁ」
高い声に目を向けると、シャンパングラス片手に若い女性がまっすぐにイケメン医師を見ている。ボディラインが強調された膝上のワンピースだが、一目見ただけでグラマラスなのが分かる。髪の毛はしっかり巻かれていて、指先にはネイルがしっかりと塗られている。
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