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何も塗られていない指先が急に恥ずかしくなり、拳を作って指先を隠す。
「お医者さんなんですね」
真衣が持っていたプロフィールカードをのぞき込むとそのまま手に取り、体を真衣たちの間に滑らせてくる。
――どうやら自分は邪魔なようだ。
女性に押し出されるようにして場所を開け、イケメンと話して火照った体を冷やそうとソフトドリンクを口にする。
「少し話しませんか」
声をかけてきたのは壁に寄りかかっていた男性だ。乾杯するようにグラスを傾けている。清潔感のあるスーツ姿で、体育会系営業マンといったイメージだ。あくまでも真衣のイメージで、だが。こちらも先ほどの医師同様、イケメンだ。
――婚活って、こんなにイケメンがいるものなの? 世の中にはこんなにもイケメンがあふれていたっけ。少なくとも私の周りにはいない。
「ちょっと話が聞こえてきちゃったんですけど、先生なんですか」
「はい。教師ですけど」
同じ先生と呼ばれる職種には真衣のような教師もあれば、先ほどのイケメンのように医師もある。他には代議士も先生と呼ばれている。
「毎日子どもたちを相手に仕事をされてるんですね。子ども好きなんですね」
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