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営業マンが真衣の肩を抱く。予想外の出来事に、真衣は夢うつつに「はい」と返事をしてっ身を任せてしまう。初めて参加した婚活パーティーで即カップリングなんて夢を見ているようだ。
「ちょっと待って」
聞き覚えのある声が聞こえたと思った次の瞬間に、真衣の腕がつかまれる。反射的に振り返ると、先ほどのイケメン医師がグラマラス美女を押しのけて真衣の腕を取っている。
「彼女は僕と先約がありますから」
「彼女そっちのけで美人と話していた方とですか」
営業マンが鼻で笑い、医師が顔をしかめる。
――ひょっとして私、いい男二人に取り合いされてる? 人生初のモテ期到来!
ドラマのような展開に真衣が胸を躍らせているとは知らない男性二人の視線は真衣ではなく互いに向けられている。その目は獲物を取り合う肉食動物のものだ。
――こういう場合はどうすべきか。黙って見ているべきか、それとも「私のために喧嘩しないで」とでも言うべきか。それはぶりっ子がすぎるかな。
真衣を挟んで睨み合う男性二人に周囲が気付き始めた頃、それまで黙って成り行きを見ていたグラマラス美人が呆れたように口を開く。
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