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真っ赤とまではいわないけれどオレンジ程度に嘘。父さんは小さな鉄工所を経営してるから社長には違いない。従業員はお兄ちゃんと母さん。その家の娘である私はお嬢さんには違いない。けど、ええ、まぎれもない庶民よ。買い物は近くの、のほほん商店街よ。 実際親子四人が暮らしていくには問題ない程度の収入はあると聞いてるけど、もしかしたら一流商社のサラリーマンの方が高いかも知れない。 なのに私が隣の県のお嬢様学校に行きたいなんてゴネタもんだからちょっと大変っぽい。その証拠という訳ではないけれど、このところの晩御飯、五個百円のコロッケ率高い。 ……大好きだけど。 「ふうん、そう社会勉強なの。さすがに私はユミと違ってスーパーにも来るわよ。学者の家柄とはいえ、お嬢様のユミの家と違ってお金がうなってる訳じゃないもの。」 その話は彼女と同じ中学の子から聞いた。彼女のご先祖は江戸幕府お抱えの学者様だったそうだ。彼女の家にはご先祖が書いた漢詩の本なんかもあるらしい。 だけどさ、江戸時代だよ。どんだけ前の話だっての。ちなみにミキのお父さんは学習塾講師、お母さんはそろばんの先生だ。これも彼女のおな中の子からの情報。 今更だけど、私気付いた。私がミキの家庭事情を知ってるくらいだから、彼女もウチの家業のことはとっくに知ってるかも。
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