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私は、選ばれない人間だったーーー 選ぶ側と、選ばれる側がいて、私は選ばれる側で。そしていつも、選ばれない。 仲良し三人組。社会は幼稚園で始まっていた。 いつも真ん中のAちゃんと両脇を固めるBちゃんと私。 たまにBちゃんはAちゃんがいいと言って二人で行ってしまう。私をいいと言うことはなく、Aちゃんも私を忘れるように二人で遊ぶ。一度も二人から選ばれなかった。 小学生。一番の親友だと思ってた子に、友達ランキングを聞いた。 私は5位だった。私もそのあとに聞かれた。 あなたが一番だよと言えなくて、同じ5位で名前を出した。 修学旅行の部屋決め。 私は気づいたら一人余ってた。仲の良い子がいなかった訳じゃない。でもその子達は早々と組んでいた。 席替えも、遠足のお弁当も、クラス替えも、運動会も、いつも選ばれなくて一人だった。 一人で平気だった。好きだった。一人が。 ーーさん、かわいそうだから誘ってあげようよ。 声が聞こえる。私は読書中。ページをめくらない、眺めるだけの。 一緒に遊ぼうよ。 あ、大丈夫です… 一緒にあそぼ! もう一度言ってくれた。他の子が、 嫌がってるよ、無理に誘わない方がいいよ。 行ってしまった。 一人が好きだ。 独りが惨めで、恥ずかしくて、地獄だった。 本当は、嫌だから、必死に捨てられないようについていってた。でも、選んでくれる人はいなかった。 選ばれず、いつも独りだ。 選ぶ側が羨ましくて。いつも回りに人がいて。 選ばれてる人が疎ましくて。 誰も選んでくれない。 でも、選ばれていた。 天の邪鬼に選ばれていた。 一人が好きだと言った。 遊びたくないと言った。 覚えてないと言った。 いらないと言った。 違う。一人は嫌だ。遊びたかった。覚えてる。欲しかった。 全部逆だ。 逆に言っていることに、気づいてなかった。言葉はわかってる。 ただ、本音を言ったら惨めだったから。凄く、恥ずかしくて惨めで、耐えられなかった。 本音を心臓に埋め込んで、天の邪鬼が口から這い出ていた。 選ばれない私は、私が造っていた。 天の邪鬼に選ばれていた私。 いつからだろう。 傷ついた心を塞いでくれようとした天の邪鬼は血を流して泣いている。 痛かった。ずっと。 私も。天の邪鬼も。ずっと、ずっとーー。 気づけたのは二十代後半。 未だに天の邪鬼は一緒にいる。共存している。今は、少し、笑ってるような気がする。 未だに選ばれない人間だ。 天の邪鬼に選ばれた私は、明日も生きてるだろう。
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