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ヒューゴを背負ってドゥーショ本部を出た。
しかし、傍目からはヒューゴが俺に覆い被さっているように見えるだろう。偉丈夫――否、ある意味「異常」夫か。つまらないシャレだ。
コイツは本当に馬鹿だ。大馬鹿者だ。
しかし、俺にも――まだ、倒すべき相手がいるというのが分かった。あるいは、潰すべき相手か。
ザノはまだ生きているだろう。窓から下を見たわけではないが、数階層下にはバルコニーのように張り出した部分がある。そこに落ちていない可能性の方が低い。「良くて」重症だろうが、死んではいないはずだ。
時期尚早だ。ヒューゴはいい戦力になるだろう。だが、今ではない。この敵は、自棄に乗り込んで勝てるほど楽な相手ではない。
――ひとまず、帰ってヒューゴの手当てだ。その後のことは、その時に考えよう。
雲は晴れた――、か。
あの日、フェンに言われた言葉が思い返される。
「……クソッ」
まだ雨は止まなさそうだ。
嫌な引っかかりを心に残したまま、俺は偉丈夫と帰途に着いた。
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