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「さよなら」
高校3年生の小松は、大切な恋人との別れにショックを隠せないでいた。
「本当にさよならなの?」
夕暮れの駅前の広場。帰路につく人も徐々に増えた。
「どうして?」
彼女は今夜アメリカに旅立つ。留学だ。
しかし本人の希望ではない。
広場の脇に停められた車の中に彼女の両親がいる。
飛行機の時間を気にして、腕時計を見ているのが父親だ。
彼女は納得していなかったが、親の言うことは絶対だった。
どうして、と言われても彼女は困ってしまう。
「ごめんね」
小松の目から涙が溢れた。
制服の袖で拭ってもこぼれ出てくる。
どれだけ泣いても彼女を失う痛みは癒されない。
「そろそろ、行かなきゃ」
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