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小松は彼女を見た。
彼女の顔を見るのもこれが最後だと思うと恐ろしくもあった。
私だって嫌なんだよ。
彼女も思ったことを口にできないまま、悲しい面持ちで車に向かった。
話せば話すほど、別れが辛くなるから。
彼女が乗った車が広場を離れたのを見届けると、
小松は、カチャン、と自転車の支えを外して、押した。
家に帰ろう。なるべくゆっくり。
また涙が頬をつたう。
すれ違う人に見られないように俯いて歩いていたら人とぶつかった。
舌打ちをされた。
それが小松には、過去と未来の自分がした舌打ちのように聞こえた。
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