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「世界征服?何じゃそりゃ?」
空木は呆れた。
いきなり探偵だと言い張る自分のことについては特に何も思っていない。
「冗談じゃねえ。こっちは犯罪者追いかけてんだ。ヒーローごっこは小松くんと二人でやってくれ」
「ごっこなんかじゃありませんよ! 僕の名前は鳥居。またの名をスーパーヒーロー:パラキート!」
はっ、また言ってしまった。正体をばらしちゃいけないのに……。
「ますます分かんねえよ。じゃあな、小松」
「あ、はい……」
彼女と別れた日に、探偵とスーパーヒーローが目の前に現れた。
小松の心はぐちゃぐちゃで、目の前の事案を上手く処理できない。
こうなったら世界が終わっても驚かない……。
「待ってください! 悪い奴を止めないと世界が滅ぶかもしれないんです! これは秘密の話ですが!」
さっきから鳥居って奴、全く秘密が守れてねえ。何がヒーローだよ。
探偵だって正体を隠すべきではないのか? このことに関しても空木は気にしていなかった。適当な男なのだ。
やっぱり世界が滅ぶんだ……。失恋して悲しんでいても、死んじゃったら元も子もないな。
でも、最後の日には君といたかった。
「どうやったら滅ぶのを止められますか」
このままでは世界が滅ぶ前に、後悔で自分が押し潰されそうだった。
「小松くん、よく聞いてくれました」
この人の話を丸々信じる訳ではないけれど。
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