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私はどうして、夫を信じなかったのだろう。
どうして突然現れた見ず知らずの女の言うことに惑わされてしまったのだろう。
どうして夫に直接訊くことを躊躇ったのだろう。
そりゃ確かに、新婚の時のようないかにも「ラブラブ」という感じの関係ではなくなってしまっているかもしれない。
でもそれがどうして、相手を信じられないということになるのだろう。
私たちは長い間家族として暮らしてきたのだ。
それを大切に思っているのが、私だけのわけがなかったのだ。
私は宮間幸成の妻なのだ。彼を支える存在なのだ。
私は宮間祥平の母なのだ。彼を導く存在なのだ。
この宮間沙織は、私たち家族を守る存在なのだ。
25歳の小娘にひるんでいる場合ではない。
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