支え 導き 守られる

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人生長しといえど、まさか自分がこんな場所に足を踏み入れることになるとは思わなかった。 駅から少し離れたビジネス街の雑居ビル。 これじゃ一度に数人しか乗れないだろうと言いたくなるような小ぶりなエレベーターで6階に上がる。 廊下を道なりに進むと、すぐにその入り口が現れた。 シックなブラウンの扉にプレートがかかっている。 私は一瞬躊躇したものの、軽くノックしてからそのシックなブラウンの扉を開けた。 「先ほどお電話いたしました宮間です」 そう挨拶をしてから顔を上げると、そこには中年と初老の間くらいの穏やかな雰囲気の男性がいた。 「お待ちしておりました。どうぞおかけください」 彼がきっと、田中康作氏──この田中探偵事務所の所長だ。
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