25人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「では早速ですが、ご用件を伺いましょう」
お茶を出してくれた若い男の子が部屋を出て行ったのを見届け、田中氏が口を開いた。
「調べていただきたい女性がいるんです……」
そう切り出し、香菜子が突然家を訪ねてきたところから、名前を出した時の夫の反応まで、できる限り詳細に説明する。
何せわかっているのは相手の名前と年齢だけで、顔を確認できるような写真なども持ち合わせていないのだ。
そんな状況で依頼を受けてもらえるのかはわからなかったが、最終的に田中氏は「いいでしょう」と首を縦に振ってくれた。
そして私が入ってきたのとは別の扉に向かって「──亮!」と声を張り上げる。
最初のコメントを投稿しよう!