27人が本棚に入れています
本棚に追加
「……管理職の候補から外すためなら、不倫程度のスキャンダルで十分というところでしょう」
田中氏の言葉にはっとする。
だから彼は報告を急いだのだ──手遅れになる前にと。
「幸い、ご主人がお勤めの会社にはきちんとした第三者機関が設置されています。通報されるのでしたら、こちらの報告書をご利用いただいて構いません」
そう言って、田中氏はまっすぐに私を見た。
「まず敵の正体を確かめようとなさったのは、賢明なご判断でしたね」
「……!」
私はお礼もそこそこに、報告書の入った封筒(もちろんその中には請求書と振込用紙も入っている)を受け取り探偵事務所を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!