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そして、そんな慎重な一派に属しているはずの香菜子があんなに大胆な行動に出たのは、きっとそれだけ焦っていたからというだけではない。
夫本人よりも妻である私の方が与しやすいと思われたからなのだ。
夫の職場の人たちに会ったのは結婚式が最初で最後で、ほとんど面識はないに等しいのにもかかわらず。
──でも。
私だって、だてに熾烈な取り合いを潜り抜けてきたわけじゃない。
不本意ながらも、幾度となく戦い切り抜けてきたのだ。こんなところで負けてなんかいられない。
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