支え 導き 守られる

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「違うんだ。ほんとはあいつらがいろいろ仕掛けてきてるのは知ってて……でも別に俺自身課長になりたかったわけじゃないからほっといたんだよ。でもそれが──…」 そこまで言って唇を噛む。 「それでお前まで巻き込んでくるとは思わなかった。俺の大事な家族にまで手を出してきたんだ……もう容赦はしない」 夫は勢いよく立ち上がり、虚空を睨みつけた。 「明日、もう全部カタをつけてくるよ」 背を向けたままそう宣言したのは、冴えないおじさんなどではなかった──守るべきものを背負って戦う、一人の戦士だった。
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