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「というか両方俺なんですか? どっちも勘違いとかじゃなく?」
一応念のため聞いておくことにした。まあきっとそんなことはないだろう。天使も悪魔もそんな間違いしないだろうと思い始めた俺はいつの間にか二人の自己申告を信用してるみたいだ。さっきは今年一信用できない自己申告とか思ってたのに。
「えっと、合ってると思いますよ?」
「そうだな、俺も合ってる」
「そうですか……そうですよね」
「熊野大樹さんで合ってますよね?」
「ん? 草場大河じゃねえのか?」
「えっ、俺は草野大輔ですけど……?」
「えっ」
「あっ」
「やっぱり間違ってましたか?」
そう聞くと二人とも頷く。
「でもおかしいな、この住所だって聞いてきてるんだが……」
「あっ、私もです」
「まあいいか」
「ですね」
「じゃあ俺はちゃんとしたやつのとこいくわ」
「私も行こっと」
「えっ、ちょっと待って」
と俺が止める暇もなく二人は行ってしまった。俺の心にどうして住所がここになっていたかの解決しない謎を残したまま……。
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