第一章/27

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第一章/27

傲然(ごうぜん)と見下ろす秋吉に、レイが一言、 「お礼なんて、いらないよ」 と返した。  安らかな日射しが降り注ぐなか、秋吉らが立ち去る。  声もなく、音も立てず、昇降口(しょうこうぐち)のほうへと消えていく。    柔らかな涼風(りょうふう)に頬をそっとたたかれた瞬間、真昼は、みずからの足の震えを知覚(ちかく)した。  それはまぎれもなく、「最強」の称号を手中(しゅちゅう)に収めているレイへの恐れから兆したものであった。
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